日本教育大学協会
全国家庭科部門

運営委員会の挨拶


日本教育大学協会全国家庭科部門
令和 7 年度 運営委員長 久保 和弘

 家庭科教育は、生活に密着し、持続可能な社会の構築や次世代の育成に欠かせない重要な役割を果たしています。本部門は、全国8地区に分かれ、各地区の代表が集まり、運営委員会を通じて家庭科教育の発展に向けた方針を検討・提案しています。現在、会員数は約340名であり、教員養成学部および附属学校の教員が中心となり、家庭科教育の充実を目指して活動しています。
 本部門の取り組みは、単なる知識の伝達に留まらず、教育課程の改善、指導法の向上、教材の開発、社会的認知度の向上を目指し、より実践的で現代社会に適応した教育の充実を図ることにあります。また、家庭科教育の発展には、教員の確保と育成が不可欠です。近年、家庭科教員の不足が課題となっており、解決には教員養成課程の強化、採用制度の見直し、待遇改善、地域との連携などの対策が求められています。特に、教育課程の改善を進めることで家庭科教育の重要性が再認識され、教員養成の強化につながることが期待されます。本部門では、教員養成学部教員と附属学校の家庭科教員が協力し、教員不足の解消に向けた施策を模索しています。
 家庭科教育が扱う分野は、衣生活・食生活・住生活・環境・家族と幅広く、これらの知識を適切に活用する力を育むことで、生活の質を向上させることを目指しています。特に近年は金融経済教育の重要性が高まり、家庭科教育の中での位置づけがますます重要になっています。経済構造が複雑化する中、家計管理や消費行動の意思決定能力を養うことは、生徒の生活力向上に不可欠です。
 こうした背景のもと、本部門では8月21日(木)13:00より、総会および地区企画の講演・ラウンドテーブルをオンラインで開催します。基調講演には岐阜大学の大藪千穂先生をお迎えし、「家庭科における金融経済教育」と題したご講演をいただきます。また、「家庭生活と金融経済教育」をテーマに、衣生活・食生活・住生活・環境・家族の5つの分野における金融経済教育について議論を深めます。家庭科教育の実践者が、金融経済教育を取り入れた課題解決型学習を活用し、指導力を高め、実生活に活かせる知識を深めることを目指します。
 今後も全国の教育大学・附属学校の皆様と協力し、家庭科教育の未来を築くためにより実効性のある活動を展開してまいります。社会の変化に柔軟に対応しながら、教育の質を向上させることが求められる中、教育革新に向けて積極的に取り組み、生徒に最適な学習環境を提供するべく努めます。
(岐阜大学教授)
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